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糖質制限で骨密度が下がって骨粗鬆症になるのか?

  • 糖質制限

連日、体温超えの日が続きますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?

一昨日、京都の京田辺市というところで、39.9度と、9月の観測史上最高気温をたたき出した(?)そうです。

机の上に残暑見舞いのはがきがあるのですが、それを見て

「もはや残暑ではなく、暑中だ。」

と思ったあらてつです。

ボクらの夏は終わらない~♪

さて。

話は全く変わって、takaさんから、糖質制限で骨密度は下がらないのか?とのご質問を頂いていたので、ご紹介です。

『はじめまして
あらてつさん、いつも(ブログを)拝見しております。
ひょんなことから自己測定して、食後1時間血糖値が180~200超えとわかり、糖質制限に興味を持っています。
ご飯をしっかり食べていればおかずは少々でいい、というのを信じてここ10年くらいはずっとそうしていました。
なので、思い切って糖質制限に移行することも不安で。
あらてつさん、よかったら質問させてください。
タンパク質をとればとるほど、骨粗鬆症になりやすいという菜食サイトの話が気になっています。
というのも、カルシウムとリンの比率の問題で、リンが多くなると骨が弱くなるそうなのです。
菜食サイトだけではあてにならないと思い、検索してみると、動物の飼育でも、リンの多い野菜は避けてカルシウムのほうが多い野菜を与える、というようなことをするそうです。(カルシウム リン 飼育 で検索していただければ出てきます)
糖質制限ですと、どうしてもリンが過剰になってしまうのですが、骨密度が下がってしまう、というような現象をご自身、もしくは周囲の方で目にしたことはありますか?
いきなりの質問すみません。。。
よかったら教えていただければ嬉しいです。』

takaさん、コメントありがとうございます&お返事遅くなってごめんなさい。

結論から言うと、糖質制限で骨密度が上がった方は知ってますが、下がったなんて方は、私の周囲にはおられないです。

一人暮らしの女性で、ロクなもん食べてなくて、いつも貧血&骨密度測定で引っかかっていたのが、糖質制限でガッツり食べるようになって、貧血改善、骨密度120%までアップ!なんて例もあります。

ただ、小食の方で、糖質制限を始めたはいいけど、全然量が食べられずにエネルギー不足になっちゃったなんて方は、もちろん除きます。

で、動物の飼育の件ですが、サイトいろいろ見てると、モモンガやらラットやら、いわゆる草食の生き物が対象となってます。タンパク質が主食の肉食獣の例はありませんでした。

私は、「本来人間の体は、草やら穀物やらを食べるようにはできてない」と考えてますので、これら草食動物の飼育例は、全く当てはまらないんじゃないの?と思います。

加えて、タンパク質を摂って骨がスカスカになるなら、ライオンは百獣の王に成れなかったでしょうし、トラは骨粗しょう症で密林の王者の座につけなかったでしょう。

チーターだって、走り出した瞬間、大腿骨骨折と腰椎の圧迫骨折で寝たきりになっちゃいます。

というわけなので、takaさん、このあたりはあまり気にしないでいいと思います。

ご参考までに、江部康二先生が以前に書かれたブログを、以下、掲載させて頂きます。

<高タンパク食と骨粗鬆症>
糖質制限は、相対的に高タンパク食・高脂肪食になります。
今まで、高タンパク食・高脂肪食が健常な腎臓や膵臓を傷害しないことや、発ガンや冠動脈疾患のリスクもないことをブログで説明してきました。
今回は、高タンパク食と骨粗鬆症の問題です。
1968年にWachman and Bernsteinが「内因性酸仮説」において、
『高タンパク食を摂取すると、タンパク質代謝によって作られた酸を緩衝するために骨のカルシウムが利用されるため、骨粗鬆症になりやすく尿中のカルシウムも増加する』
と提唱しました。
あくまで仮説に過ぎず、証明された訳ではないのですが、かなり一人歩きしてしまいました。いろんなブログで、高タンパク食の害を説明しようとする時には、よくこの仮説が引用してあります。
まあ、世界中でこれを巡って、その後30年以上論争が続いてきました。実際、研究によってはこの仮説を支持するようなものもありました。
しかし、一方で高タンパク食が骨粗鬆症の予防や、大腿骨頭骨折予防に益があるという研究もたくさんありました。
こういった歴史的状況を背景に、この論争に決着をつけるような研究論文を今回発見しました。(*1 巻末の英文の文献です)
572人の女性と388 人の男性(55–92才)を4年間観察した研究です。
『食事中のタンパク質が、骨粗鬆症を予防するのか、障害するのか、過去の研究では両方あって、はっきりしない。それでこの研究を行った。
結果:動物性タンパク質は成人女性においては、骨の健康を守る役割がある。
一方、植物性タンパク質は、骨カルシウム量には両性で無関係である。
結論:動物性タンパク質の摂取量が多いほど、少なくとも成人女性では、統計的に有意差をもって、骨の健康に役立つ』
他の研究者の42の論文にこの論文が引用してあり、評価が高いことを示しています。
私の結論です。
女性では動物性タンパク質で骨粗鬆症が予防できる可能性が高まりました。男性では、予防できるかどうかわかりませんが、少なくとも骨粗鬆症の悪化は考えにくいです。
*1
「American Journal of Epidemiology Vol. 155, No. 7 : 636-644 、2002
Protein Consumption and Bone Mineral Density in the Elderly
The Rancho Bernardo Study
Joanne H. E. Promislow1, Deborah Goodman-Gruen2, Donald J. Slymen3 and Elizabeth Barrett-Connor2
1 Department of Epidemiology, School of Public Health, University of North Carolina at Chapel Hill, Chapel Hill, NC.
2 Department of Family and Preventive Medicine, School of Medicine, University of California, San Diego, La Jolla, CA.
3 Department of Epidemiology and Biostatistics, School of Public Health, San Diego State University, San Diego, CA.」
江部康二

江部康二先生、ありがとうございました。

 

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